戦艦 Battleship 19世紀末~第二次世界大戦前半まで海戦の主力。高い攻撃力と防御力を備える
巡洋戦艦 Battle Cruiser 戦艦の攻撃力と巡洋艦の高速力を兼ね備える。防御力の低さが問題

 艦名  写真  概要艦名の由来

ビスマルク Bismarck

国籍:ドイツ 艦種:戦艦

満載排水量:50300t

全長:251m 速力:30.8kt

主砲:38cm×8

竣工:1940 沈没:1941.5.28

ナチス・ドイツが建造した最初の本格的な戦艦。出撃準備が整った1941年5月、新造の重巡プリンツ・オイゲンとともに大西洋で通商破壊戦を行う「ライン演習」作戦に出撃。グリーンランド沿いのデンマーク海峡で迎撃に出たイギリスの巡洋戦艦フッドを撃沈、新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズを撃破するが自らも燃料庫に被弾。ドイツ占領化のフランス・ブレストへ向かうが、ドイツの制空権入り直前で空母アーク・ロイアルの雷撃機に舵を破壊されて自由を喪い、追ってきた戦艦ロドニー、キング・ジョージ5世等の砲撃で沈没。ドイツ人では戦後長い間、最後は撃沈ではなく自沈したと信じられてきたが、1989年に水深約5000mの海底で発見されたビスマルクは、日本の大和や武蔵のように爆発で艦体が破砕されることなく横たわっており、自沈説が有力になってきている。

19世紀のドイツ政治家、オットー・フォン・ビスマルクに因む。プロイセン出身で、同国を中心とする1871年のドイツ帝国樹立の立役者であり、プロイセン首相時代に軍事力の重要性を唱え「鉄血宰相」の異名を取った。
同じ人名に由来する艦としては1870年代に就役したコルベット、1900年代に就役した装甲巡洋艦(フュルスト・ビスマルク)、第1次世界大戦で未成に終わったマッケンゼン級巡洋戦艦に次いで4代目。因みにビスマルクの名前は第1次大戦までドイツが統治していた現パプアニューギニアのビスマルク諸島やビスマルク海に残されている。1943年2月に米陸軍機が新戦術・反跳爆撃により日本の輸送船団を撃破したビスマルク海海戦が生起し、これに因んで命名された米海軍の護衛空母ビスマルク・シーは、1945年2月、日本軍の特攻攻撃により撃沈されている。

ティルピッツ Tirpitz

国籍:ドイツ 艦種:戦艦

満載排水量:52600t

全長251m 速力30.8kt

主砲:38cm✕8

竣工:1941 沈没:1944.11.12

ビスマルク級2番艦。1番艦ビスマルクは本艦竣工直後に喪失。1942年以降ノルウェー海域に進出して英国のソ連向け輸送船団に睨みを利かせ、ほとんど出撃しないながらもドイツ海軍最大の戦闘力で英国海軍の戦力を引きつける役割を担った。多くの輸送船が潜水艦(Uボート)の餌食となったPQ17船団の悲劇も、本艦の出撃を警戒して船団を散開させたことが原因の一つとなった。英軍は小型潜水艦「X艇」や、超大型爆弾「トールボーイ」を搭載したランカスター爆撃機による攻撃を繰り返し、さしもの「北国の孤独の女王」も1944年末に転覆、沈没した。ドイツ降伏の半年前のことであった。

ドイツの海軍軍人、アルフレート・フォン・ティルピッツに因む。19世紀末から20年にわたり海軍大臣を務め、海軍弱小国ドイツを、英国に次ぐ世界第2の海軍国に押し上げた。伝統的に陸軍国のドイツでは、モルトケ、デアフリンガー、リュッツォウ、ザイドリッツ、シャルンホルスト、グナイゼナウなど陸軍軍人の名を冠した戦艦や巡洋戦艦が多く、海軍軍人はヒッパー、シェーア、シュペーなどより小型の装甲艦や重巡洋艦に名付けられていた。ティルピッツは最初で唯一の海軍軍人名の戦艦となった。

ローマ Roma

国籍:イタリア 艦種:戦艦 

満載排水量:45752t

全長:237.8m 速力:32.9kt

主砲:38.1cm×9

竣工:1942 沈没:1943.9.9

ヴィットリオ・ヴェネト級3番艦。イギリス海軍のどの戦艦よりも有力な戦闘力を誇ったが、イタリア海軍の消極性から活躍の場がないまま連合国に降伏。ドイツは有力艦の連合軍参加を阻むため、新兵器の無線誘導爆弾「フリッツX」でイタリア降伏艦隊を攻撃。2発の直撃を受けたローマは、誘導弾に沈められた最初の主力艦となった。 イタリアの首都ローマに因む。伝承によれば、トロイ戦争を生き延びたアイネイアスの子孫、ロムルスとレムスの兄弟が争い、勝者となったロムルスの名前が街の名になったという。4番艦インペロ(イタリア語で「帝国」)は、進水はしたものの艤装中に建造中止。
リシュリュー Richelieu

国籍:フランス 艦種:戦艦

満載排水量:47548t

全長:247m 速力:30kt

主砲:38cm×8 

竣工:1940 除籍:1967

リシュリュー級1番艦。主砲にワシントン条約で建造中止となったノルマンディー級、1930年代に就役したダンケルク級に続けて伝統の四連装砲塔を採用し、38cm砲全8門を前部に集中配置したのが特徴。フランスがドイツに降伏すると、イギリス海軍とダカール沖で交戦。後自由フランス軍に加わり連合国側で参戦。東京湾での日本の降伏調印式にも参加した。インドシナ戦争などに従事後の1967年に退役、翌年解体された。2番艦ジャン・バールは未成状態のままカサブランカに脱出。第二次大戦終結後に工事を再開し、1955年に史上最後に就役した戦艦として完成したが10年余りで退役した。 ルイ13世時代のフランス宰相、リシュリュー公爵に因む。アレクサンドル・デュマの小説「三銃士」での悪役として知られるが、政治家としての評価は高い。2番艦ジャン・バールは、17世紀に活躍した海賊出身のフランス海軍軍人に因む。

シャルンホルスト Scharnhorst

国籍:ドイツ 艦種:戦艦

満載排水量:38100t

全長:235m 速力:31.5kt

主砲:28cm×9

竣工:1939 沈没:1943.12

シャルンホルスト級1番艦。他国の同世代の戦艦と比べると、主砲の口径は小さいものの、速度と防御力が高いのが特徴。グナイゼナウと組んでノルウェー作戦、通商破壊戦、ドーバー海峡突破作成(チャンネルダッシュ)に参加。1943年12月、ノルウェー最北端の北岬沖で英戦艦デューク・オブ・ヨーク等と戦い沈没。極寒のなか、乗員1968名中生存者は36名。 プロイセン(ドイツの前身)の軍人、ゲルハルト・フォン・シャルンホルストに因む。プロイセン王国陸軍参謀本部の初代参謀総長。1813年、ドイツ解放戦争における緒戦・リュッツェンの戦いで足に戦傷死した。

グナイゼナウ Gneisenau

国籍:ドイツ 艦種:戦艦

満載排水量:38900t

全長:235m、速力:31.65kt

主砲:28cm×9

竣工:1938 除籍:1945.3

シャルンホルスト級2番艦。後部マストが煙突後部にあるのが1番艦との最大の相違点。英空母グローリアスの撃沈など、ツェルベルス作成(チャンネルダッシュ)でドイツ本国へ戻るまで、ほとんどの作戦をシャルンホルストとともにするが、1942年2月、キール軍港で入渠中に爆撃を受け大破。損傷を機に主砲を28cm3連装砲から38cm連装砲に換装することになるが、ヒトラーの方針変更で廃艦となり、武装を陸揚げした艦体は、1945年3月グーテンハーフェン(現ポーランド領グディニャ)港の閉塞船として自沈した。

プロイセン(ドイツの前身)の軍人、アウグスト・フォン・グナイゼナウに因む。シャルンホルストの戦死を受けてプロイセン軍総参謀長となり、ライプツィヒ、ワーテルローでナポレオンを打ち破り、陸軍元帥に任じられる。
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